僕の今までの人生の中で最も重要な位置を占める、そして今、現在もハマっていて、毎回、ライヴに通っているアイドルがいる。それは「dream」だ。
いつ、この連載に登場させようかと、ずっと想っていたのだが、今回から何回かは、僕の、dreamとクラブシーンへの想いを綴ってみたい。
1999年、「avex dream 2000」という、エイベックス主催のオーディションが行われ、約2万人の応募者の中から選ばれた3人組が、2000年1月1日、dreamとして、「Movin'on」でデビューを果たした。当時、16歳の松室麻衣、14歳の長谷部優、同じく14歳の橘佳奈の3人で結成されたdreamのそのデビュー曲は、99年暮れから2000年にかけて、その頃、まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”だったモーニング娘。の「LOVEマシーン」や「恋のダンスサイト」、そしてプッチモニの「ちょこっとLOVE」と並ぶほど、「スカパー」やケーブルテレビなどの音楽専門チャンネル「Viewsic」や「スペースシャワーTV」などを中心に大量にオンエアされた。「Movin'on」はノリノリの超必殺ダンスチューンで、メチャクチャかっこよく、当時のエイベックスのダンスミュージックとしての力の入れ具合がうかがえる良質のトラックだ。その作品を、中学生そこそこの女の子3人組が歌うのだから、これまた凄いッ!
しかし、僕が真にdreamにハマリ始めたのは、セカンドシングル「Heart on wave」を初めて耳にしたときからだった。当時のNTT docomoのCMソングとなっていたこの曲は、デビュー曲とは打って変わってミディアムテンポのトラック。ミックスと歌詞の微妙なバランスが心に残る、おそらく、数多くの音楽を聴いてきた僕の人生の中でもトップランクに位置する最良チューンだ。この曲を聴いたとき、dreamが単なる流行りのダンスアイドル・ユニットなどではなく、しっかりとした楽曲を提案するアーティストなんだと認識した。
デビュー曲「Movin'on」やセカンドシングル「Heart on wave」をはじめ、リリースされる数々のシングルにおいて特筆されるべきは、そのカップリングとなっているリミックス曲の数々の素晴らしさである。多くの場合、シングルにカップリングされるトラックというのは、“場つなぎ”的要素が強い退屈なものが多く、そんなに力を入れないものが多いが、dreamの場合、その制作の過程での力の入れ具合が相当、凄い。その凄さが十分に伝わってくるのだ。それほど、かっこいいリミックスが、1枚のシングルに平均4~5曲入っている。2000年というと、クラブシーンの中でも、ようやくエピックトランスがハウスやテクノとは一線を画して1つのジャンルとして確立し始めた時期。その時期にアイドルグループdreamのリミックストラックは当時のかっこいいトランスを十分に消化していた。
それらのトラックを聴いていて、いつも想うことがある。dreamのシングルにカップリングされているリミックスの曲の数々ばかりをDJプレイするクラブパーティがあったら最高なのになぁと…。しかし、それぐらい、dreamのリミックスのトラックは良質で素晴らしいと思う。それが、まさに僕のdream(夢)なのだが…。
―続く―