第55回
アイドルとクラブシーン Part 9
僕の中の最高のアイドル…dream その3


僕の人生の中で最も重要な位置を占めるアイドル、「dream」。dream は2000年1月1日、当時、16歳の松室麻衣、14歳の長谷部優、同じく14歳の橘佳奈の3人のアイドルとして「Movin'on」でデビューした。その後、12枚のシングルと3枚のアルバムをリリースしたが、2002年6月、その素晴らしい作詞を手掛けていた最年長の松室麻衣が卒業。dream はどうなってしまうんだろうと、僕を含め多くのファンたちは不安と心配の日々を過ごしていた。
そんな時、僕たちの心配を全く裏切る形の、想像を絶する急展開が始まった。2人になってしまったdreamに、なんと新しく6人の新メンバーが加わり、8人の新生dreamとしてスタートするというのだ! これには、さすがの僕もド肝を抜かれた。これでは、まるでモーニング娘。ではないか! しかし、新生dreamのメンバーは、モー娘とは決定的に違っていた。モー娘は、つんくが明言している通り、完璧ではない個人個人のメンバーがモー娘という1つのグループになることで完璧になると…。しかし、新生dreamのメンバーは、はじめから個人個人のメンバーが完璧なのだ! 今までは上等で上質なアーティストとしてのdreamを確立してきたが、8人になった新生dreamは、なんと歌とダンスに限らず、演劇からお笑いまで、何でもこなす、マルチアイドルグループをめざすという明確な方向性を示し始めた。
では、ここで簡単に新生dreamのメンバー紹介をしてみよう。1987年生まれの神奈川県出身・阿井莉沙、1987年生まれの岡山県出身・阿部絵里恵、1987年生まれの大阪府出身・高本彩、1988年生まれの大阪府出身・中島麻未、1988年生まれの大阪府出身・西田静香、1987年生まれの石川県出身・山本紗也加、そして、オリジナルメンバーの1985年生まれの大阪府出身・橘佳奈、1986年生まれの岐阜県出身・長谷部優。阿井莉沙は以前、NHKの大河ドラマシリーズに出演していたり、高本彩は、別のアイドルグループのメンバーだったが、他の4人は全くの素人からdreamのメンバーとなった。
この新メンバーが、とにかく最高におもしろいッ! メンバー間の日常の会話がまるで、吉本新喜劇か、お笑い芸人のコントを見ているよう。メンバー1人1人が天然で、超ギャグなキャラクターなのだ! 8人のメンバー中、4人が大阪府出身というのもうなづける。しかも、おもしろいことに、高本彩と山本紗也加に関しては、身長がなんと150㎝以下! 8人中、最も身長が高いのが、只一人、最年少の中島麻未の160㎝と、メンバー全員150㎝台のミニミニアイドルグループなのだ。実際にライヴで彼女たちを目にすると、そのあまりに小さい姿に自分の目を疑ってしまうほど。
そんな、新生dreamとしてのデビュー曲が2003年2月14日、バレンタインの日にリリースされた。「MUSIC IS MY THING」!そう、あの80年代ユーロビートの傑作中の傑作。1986年、世界中のディスコでかかりまくったサマンサ・ジルズが放った名曲「MUSIC IS MY THING」 (実は当時、高校生だった僕もディスコでこの曲で踊りまくっていた!!)。その名曲のカバーを新生dreamが歌って踊ることに…! 新生dreamの「MUSIC IS MY THING」が究極のダンストラックとなることに、心の底から大いなる期待が湧き出てくるのを抑えられないでいた…!
―続く―