僕の人生の中で最も重要な位置を占めるアイドル「dream」。2000年1月1日に3人のメンバーで結成され、その後、そのうちの1人が卒業、新たに6人の新メンバーが加わり、8人の新生dreamとして再スタートした。その新しいdreamとしてのファーストシングル「MUSIC IS MY THING」が2003年2月14日にリリース。80年代ユーロビートの名曲中の名曲をカバーしたそのシングルは、オリジナルよりも重低音響く、よりダンサブルな作品に仕上がっており、dreamを好きなアイドルファンのみならず、ダンスミュージック関係者からも注目を集めていた。
そんな矢先の2月26日、新生dreamとしての初アルバム「dream world」がリリースされた。「MUSIC IS MY THING」の出来が素晴らしかったので、僕は、「いったい、どんな曲が入ったアルバムになるのだろう」と、心ウキウキで発売初日に新宿の「タワーレコード」へ向かった。そして、そこで、初めて、そのdreamのニューアルバムを手にして、その収録曲を目にした瞬間、僕は、体が膠着したまま、動けなくなってしまった。CDを持った手は、わなわなと震え出し、油汗さえ出てきた。あの瞬間のことを、僕はたぶん、一生忘れないだろうと思う。それほど、僕にとっては衝撃的で感動的なタイトルが並んでいたのである。新生dreamの初アルバム「dream world」に収録されていたのは、なんと、12曲すべて、80年代ユーロビートのカバーだったのである! しかも、ただの12曲ではない。すべて、当時のディスコでメガトン級に大ヒットした曲ばかりのカバーである。おそらく、30代以上の人が見たら、泣いてよろこぶタイトルばかりだったのだ。かくいう、僕も、80年代、高校生の時代から当時のディスコに通いまくっていた一人で、この12曲のタイトルを目にした瞬間は、本当に驚愕と感動で手が震えてしまった。
その中でも、特に、僕が自分の目を疑ったのが、「I BELIEVE IN DREAMS」。1985年にジャッキー・ロウが放った大ヒットナンバーだ。実は、僕は80年代、ずっと、お気に入りのディスコソングを90分テープに編集して、自分だけのマイ・セレクト・ディスコソング・テープをつくっていたのだが、数十本、数百曲あるコレクションの中でも圧倒的に第1位的に大好きだった曲が、この「I BELIEVE IN DREAMS」だったのだ! 当時、高校2年生、17才だった僕は、新宿歌舞伎町のディスコ「XENON」(現「CODE」)に毎日のように通いつめていた。そこで毎日、必ずプレイされていたのが、この「I BELIEVE IN DREAMS」だった。しかも、プレイされる順番がほぼ決まっていて、a-haの「TAKE ON ME」の次に、このジャッキー・ロウの「I BELIEVE IN DREAMS」がプレイされ、フロアのボルテージは絶頂に達し、そして、この曲がフェードアウトされると、フロアの照明が急に暗くなり、メローなバラード、マドンナの「Crazy for you」がかかり、チークタイムが始まる、というのが、お決まりだった。僕が高校2年のときのある夜、ある女の子と、この「XENON」の夜を共にし、このチークタイムをきっかけに恋人となった甘い経験を持っている。この夜にかかって、2人で死ぬほど踊り狂った、あの「I BELIEVE IN DREAMS」を、今でも、僕ははっきりとおぼえている。そんな、僕の人生の中で最も思い出深いディスコソングを、僕の人生の中で最も大好きなアイドル、dreamが、18年という時を飛び越え、カバーしてくれるということは、僕にとっては、この上ない至福のよろこびとなったわけである。
その他、僕が大学1年、18才のとき、1987年6月14日、六本木のディスコ「レキシントンクィーン」に300人を動員した、自分で初めてオーガナイズしたパーティのアンコール曲で使った、EVEの「恋はパッション」のカバー、高校1年のとき、初めてディスコに行き(新宿・歌舞伎町の「G.B.ラビッツ」)、そこで最も盛り上がっていて、僕がディスコ・フリークになるきっかけとなった曲、ホット・ゴシップの「BREAK ME INTO LITTLE PIECES」のカバー、1986年、明石家さんまと大竹しのぶのカップルが誕生するきっかけとなった伝説のドラマ「男女7人夏物語」の主題歌として石井明美が大ヒットさせた「CHA CHA CHA」のオリジナル曲を歌っていたフィンツィ・コンディーニの大ヒットナンバー「In the name of love」のカバー、そして、80年代後期のバブル景気の代名詞的大ヒット曲として、邦楽がプリンセス・プリンセスの「ダイヤモンド」だとすれば、洋楽は間違いなくこの曲だろうというところのメラの「Help me」のカバーなど、1曲1曲、説明すれば、きりがないほどの、充実で話題満載の、新生dreamのファーストアルバム「dream world」。このアルバムは、単なるアイドルのアルバムという枠を大きく飛び越え、世代を超えた、永遠に語り継がれるべき、偉大なダンスミュージックの金字塔だと、僕は思っているのだが…!!
―続く―