第58回
アイドルとクラブシーン Part 12
僕の中の最高のアイドル…dream その6


僕の人生の中で最も重要な位置を占めるアイドル、dream。2000年1月1日に3人のメンバーで結成され、その後、1人が卒業、新たに6人の新メンバーが加わり、8人の新生dreamとして生まれ変わった。その新生dreamとしてのファーストアルバム「dream world」が、2003年2月26日にリリースされた。このアルバムに収録されている楽曲がなんと、12曲全て、80年代に世界中のディスコでDJプレイされまくったメガトン級の大ヒットナンバーのオンパレード!! 30代以上の人なら誰もが泣いて感動するタイトルばかりが収められていた。それを、10代半ばのアイドル、dreamがカバーしているのだ。「I BELIEVE IN DREAMS」、「In the name of love」、「EVER AND EVER」、「King & Queen」、「Help me」などなど…。
僕はこの「dream world」をゲットすると、あまりに興奮して、すぐに同世代(30代)の友人たちにこのアルバムの話をした。みんな、目の色を変えて、興奮して、このアルバムに興味を示した。そして、80年代当時の毎夜、盛り上がっていた頃の懐かしい思い出話に花が咲き始めるのである。特に仲の良い友人たちには、僕が自らこのアルバムを買ってプレゼントしたりもした。僕はそのとき、思った。これだけ、30代の大人が関心を示すのであれば、30代をターゲットにした大人な感じのdreamのライヴがあったら、相当、楽しいのではないか…と! あの80年代のバブルな楽しい思い出を、新生dreamが再現してくれる場があったら、それは新しいムーブメントになるのではないか…と! 2003年は80年代リバイバルブームの真っ只中、ちょうどタイミングもバッチリではないか…と!
しかし、実際には、dreamは3人のメンバーの時代から、その楽曲がアニメの主題歌として多く使われていたことから、どちらかというと、dreamファンはアニメファンと重なっており、狂信的なdreamファンは“ドリオタ”(dreamオタク)とさえ呼ばれていた。dreamの固定ファン層はオタク系だったのである。よって、30代に非常にウケのいい、素晴らしい、80年代ディスコ大ヒットナンバー・カバーアルバム「dream world」も、“ドリオタ”向けに作られ、そして、展開されていった。それは、30代の僕にとって、とても残念だった。
dreamはエイベックスのアイドルだから、例えば、六本木の「ヴェルファーレ」などで80年代ユーロビート・パーティを、30代の大人向けに開催し、そのメインがdreamの80年代ディスコカバーライヴだったりしたら、それは、今やクラブが低年齢層主体になってしまい、大人の遊び場がないと嘆いている30代の人たちに大きく指示される結果になったのではないかとずっと考えている。でも、dreamのメンバーが全員18歳未満だったということを考えると、もしかして、「ヴェルファーレ」でライヴ、できなかったのかな…!?
―続く―